言葉の意味と使い方

「匙を投げる」「匙加減(さじかげん)」の意味と語源は?なぜ匙なのか解説!

「匙を投げる」「匙加減(さじかげん)」の意味と語源は?なぜ匙なのか解説!

「匙を投げる」は何かをあきらめた時などによく使われる言葉ですね。

よく聞く言葉ですが、一体なぜ「匙」を「投げる」ことがそのような意味で使われているのでしょうか。

同じ「匙」を使った言葉に「匙加減」というのもありますが、こちらもどういう風にできた言葉なのでしょうか。

ぜひ由来から、その理由を知っておきましょう。

今回は、「匙を投げる」「匙加減(さじかげん)」の意味と語源は?なぜ匙なのか解説!についてご説明いたします!

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「匙を投げる」の意味

「匙を投げる」は、「医者がこれ以上治療法がないとして病人を見放す」「救済や解決の見込みがないとして手を引く」という意味です。

「さじをなげる」と読みます。

「さじを投げる」とひらがなで書かれることも多く、「匙」はあまり使わない漢字かもしれませんが、いわゆるスプーンのことです。

料理の時に使う計量スプーンは「大さじ」「小さじ」と言いますよね。

読み方も正しく覚えておきましょう。

「匙を投げる」は、「これ以上どうしようもない」とあきらめる気持ちを表す言葉です。

【例文】

  1. 彼の症状にはどんな薬も効かず、医者もとうとう匙を投げた。
  2. もう回復の見込みはないと医者に匙を投げられた。
  3. 彼女は新人に仕事を教えていたが、まったくやる気のない様子に匙を投げてしまった。
  4. ミーティングでみんなの意見が全くまとまらず、部長もとうとう匙を投げてしまった。

「匙を投げる」の語源

さて、「匙を投げる」はあきらめて手を引くことを表す言葉ですが、なぜ「匙」を「投げる」のでしょうか。

普通、スプーンを投げることはあまりありませんよね(笑)。

実はこの「匙を投げる」の「匙」は、薬を調合する匙のことなんです。

昔の医師は、漢方薬を匙ですくって調合していました。

もうこれ以上治療法はない、と医師が見放して薬の調合用の匙を投げ出す、というところから、「匙を投げる」という言葉ができたのです。

江戸時代後期の川柳の句集『誹風柳多留』にも「田舎医者 さじを投げては 馬で逃げ」という川柳が載っています。

そこから広がって、医師が病人を見放す以外にも、物事を諦めるという意味で広く使われるようになりました。

「匙加減」の意味

「匙」を使った言葉に「匙加減」というのもあります。

「匙加減」は「匙にものを盛る加減(特に薬の調合の加減)」「味つけの程度」「手加減。手ごころ」という意味です。

「さじかげん」と読みます。

薬の調合の具合とか、味付けする具合とか、手加減とか、いずれにしても「何かをどれぐらいやるか」という程度のことを表しているということがわかりますね。

薬の調合や調味料の分量など、実際にスプーンに入れるようなものだけでなく、「手ごころ」という意味で「適当にとりはからう」「便宜をはかる」など形のないものについても使います。

ビジネスシーンでは主に「手ごころ」の意味で使うことが多いでしょう。

【例文】

  1. 医者の匙加減で薬の効き方が違ってくる。
  2. 今日作った煮物は醤油もみりんもちょうどよい匙加減でできた。
  3. 子供に遊びと勉強をどれぐらいやらせるのかという匙加減が難しい。
  4. 部長の匙加減一つで人事評価が決まる。

「匙加減」の語源

「匙加減」の「匙」も、医者が薬を調合するときの匙のことです。

薬匙は素材も様々、大小様々な形や大きさのものがあります。

江戸時代の漢方医は薬匙を使って色々な薬を調合し、治療にあたっていました。

非常に微妙な加減で薬の出来が違ってきますから、医師の調剤の技術はとても大切な技術でした。

ここから、薬を調合する加減のことを「匙加減」というようになりました。

さらにそれが色々なものを匙に盛る加減という意味になり、また味付けの具合や様々なことに関しての調節具合という意味で広く使われるようになったのです。

「匙を投げる」「匙加減」の類義語

「匙を投げる」「匙加減」の類義語には次のようなものがあります。

「匙を投げる」の類義語

  • 見放す(見切りをつけて従来の関係を断つ)
  • 見捨てる(捨てて顧みない)
  • 放棄する(投げ捨てて顧みない)
  • 諦める(とても見込みがない、仕方がないと思いきる)
  • 挫折する(仕事や計画などが途中で失敗しだめになる。またそのために気力をなくすこと)
  • 投げ出す(物事をあきらめて止める)
  • お手上げ(全くどうしようもなくなること)
  • 断念する(自分の希望などをきっぱりあきらめる)

「匙加減」の類義語

  • 力加減(作業などに必要な力の量や程度)
  • 手加減(手に持った具合で分量や程度をはかること。また状況に応じて扱いの厳しさの度合いをゆるめること)
  • 具合(物事の機能の状態)
  • 程度(適当と考えられる度合い)
  • 塩梅(料理の味加減。物事の具合、ほどあい)

「匙を投げる」「匙加減」の対義語

「匙を投げる」「匙加減」にはきまった対義語というのはありません。

「匙を投げる」は「あきらめる」ことなので、反対の意味を表すなら

  • あきらめない
  • 投げ出さない

などといったところでしょうか。

「匙加減」は「物事の具合や加減」ですから、反対の意味というものもなさそうですね。

まとめ

「匙を投げる」「匙加減」の由来もお分かりいただけたでしょうか。

それぞれ、もうどうしようもないとあきらめること、色々な手ごころこという意味で、ビジネスシーンでも何かと使う言葉です。

ぜひこの機会に理解しておきましょう。

最後までお読みくださりありがとうございました!

ABOUT ME
三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。
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