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俳句や連歌を作るうえで欠かすことの出来ない季語。
様々な美しい表現が特徴的ですが今回はその中の1つ「陽炎」について解説していきます。
言葉によっては耳なじみがあるものや、中には全く聞いたことが無いものもあるのではないでしょうか。
今回は改めて「陽炎」について基本的な意味や読み方はもちろん、いつの季語なの?「蜃気楼」との違いは?といった疑問にもお答えしていきます。
「陽炎」を使った俳句もご紹介いたします。
「陽炎」の意味と読み方
「陽炎」とは、自然現象の1つで、熱くなった地面や炎の上の空間を通して遠くを見た時にゆらゆらと景色が揺れたり、どこか歪んで見える現象を指す言葉です。
「陽炎」は「かげろう」と読みます。
「ようえん」ではありませんのでお気を付けください。
「陽炎」は熱により空気が温められることで対流が起こり、その部分の密度が変化することで屈折率が変化することで起きます。
屈折率が変化しているのでそこを通る光があちらこちらへと曲がってしまうことで景色が揺らめいて見えるんですね。
「陽炎」はいつの季語?
「陽炎」は、俳句を作るうえで「春」の季語として使われています。
初春などの限定的な季語ではなく「春」という季節を通して使う事が出来ます。
「陽炎」自体は春だけではなく1年を通して目撃される現象ですが、景色が揺らめく雰囲気がのどかに感じられることから「春」の季語として使われているんですよ。
「陽炎」と「蜃気楼」の違い
どこか似たような印象を持つ「陽炎」と「蜃気楼」ですが実は異なる意味を持っています。
「陽炎」はただ遠くの景色が揺らめいたり歪んで見えるだけの現象ですが、「蜃気楼」は光の屈折で「本来そこにあるはずのないもの」が見える現象を指しています。
砂漠における「あるはずのないオアシス」などはまさに蜃気楼の代表的な物ですね。
「陽炎」を使った俳句
陽炎や寝たい程寝し昼の鐘
(かげろうや ねたいほどねし ひるのかね)
小林一茶
陽炎の中の己をみな知らず
(かげろうの なかのおのれを みなしらず)
河野美奇
陽炎にまぎれむための早歩き
(かげろうに まぎれむための はやあるき)
能村研三
まとめ
季語は俳句だだけではなく、手紙やビジネス文書などの時候の挨拶でも多く使われており数多く覚えて損はありません。
春夏秋冬、日本を美しく彩る四季ならではの情景を繊細かつとても美しく表現した言葉ばかりなので眺めているだけでもとても楽しいんですよ。
季語と実際の景色を見比べる、などという楽しみ方も面白いですね。
日本にしかない「季語」という言葉で季節の移り変わりをより詳しく感じてみてはいかがでしょうか。