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「警句」とう言葉を知っていますか?
「警戒」の「警」なので、意味を誤解して使っている人も多いようなんですが、「警句」は危険な言葉や言ってはいけない言葉ではありません。
中島敦の有名な短編小説『山月記』にも用いられている言葉です。
この機会に「警句」の正しい意味を理解しておきましょう。
今回は、「警句」の意味と使い方!「警句を弄する」とは?|類義語・例文【山月記】についてご説明いたします!
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「警句」の意味
「警句」は「短く巧みな表現で物事の真理を言い当てている言葉」という意味です。
「けいく」と読みます。
短い文章で、奇抜な発想や皮肉な視点から優れた教えなどを表します。
「警句」の「警」は「警察」の「警」ですが、他に「いましめる」や「素早い。さとい」という意味もあります。
「警句」の場合は「素早い。さとい」という意味で使われています。
手短に優れた考えを含ませた言葉というわけですね。
また、短いといっても心温まるような言葉ではなく、むしろちょっと皮肉な表現で真理を鋭くつくような言葉のことです。
有名な「警句」には次のようなものがあります。
- 天災は忘れた頃にやってくる(寺田寅彦)
- 急がば回れ
- 多くのことを中途半端に知るよりは何も知らない方がいい(ニーチェ)
- 芸術は長く人生は短し(ヒポクラテス)
もちろんこれはごくごく一部で、様々な内容の「警句」があるわけですが、いずれも短い文章でズバリと真実を言い当てていますよね。
皮肉めいたものも多いですが、聞いた人が「なるほど!」と納得するような言葉です。
「警告」との違い
「警句」は「警告」と混同されることがしばしばあるようです。
「警告」は「前もって告げ知らせる注意」という意味です。
「警句」と「警告」の違いは
- 「警句」は短い中に物事の真理を表した言葉
- 「警告」は「前もって他人をいましめること」
となります。
これから好ましくないことをしでかさないように、前もって告げ知らせる戒めの言葉が「警告」ですから、意味が違いますよね。
見た目には似ている「警句」と「警告」ですが、きちんと区別して使いましょう。
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「警句」の使い方
「警句」を使った例文をいくつかご紹介します。
【例文】
- 彼女は辛辣な警句を吐いた。
- 彼は優れた警句を残した。
- このような警句を知っているか、と先生が教えてくれた。
- 有名人の警句を集めた本を読む。
「警句を弄する」とは?
「警句」は中島敦の『山月記』にも出てくる言葉です。
人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。(「青空文庫」より抜粋)
簡単に訳すと
「人生は何もしないでいるには長すぎるが、何かするには短すぎる」などと口先だけで警句を弄びながら、実際は自分の才能不足がばれてしまうのではないかという卑怯な恐れと、努力を嫌がる怠け心が私の全てだったのだ。
となります。
「警句を弄する」の「弄する」は「もてあそぶ。思いのままに操る」という意味です。
この場面は詩人になろうとして挫折した李徴がのちに自分の行いを振り返って述べているところです。
「警句を弄する」は、ここでは口先だけで警句を述べるばかりで人格や行動が伴っていない状態を表しています。
「警句」は大抵の場合、有名な偉い人がその経験から述べた人生の真理などです。
ですが、ここではその「警句」をもてあそぶということで、実際には大した人物でもないのに人生を分かったように警句を言っていただけだという、李徴の自虐的な態度を表しています。
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「警句」の類義語
「警句」の類義語には次のようなものがあります。
- 寸言(短いけれど意味の深い言葉)
- 箴言(教訓の意を持つ短い句)
- 金言(人生や生活の上で模範とすべき優れた言葉)
- 格言(人生の真理や機微を述べ、万人への戒め、教訓となるような言葉)
- 名言(確かにそうだと感じさせるような優れた言葉)
- 至言(いかにも正しいところを言い当てた言葉)
- 名句(すぐれた文句)
- エピグラム(機知や風刺にとんだ短い文や詩)
- 座右の銘(いつも自分の座る場所のそばに書きしるしておいて戒めとする文句)
まとめ
「警句」は物事の真理をついた鋭い言葉でしたね。
「金言」や「格言」、「名言」とも同じような用いられ方をする言葉で、人生にとって大切な指針となるようなものですね。
ぜひこの機会に「警句」について調べてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みくださりありがとうございました!