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「断腸の思い」の意味や由来と使い方!「苦渋の決断」との違いは?

「断腸の思い」の意味や由来と使い方!「苦渋の決断」との違いは?

「断腸の思いで決断した」

この「断腸の思い」という言葉は、ニュースやビジネスシーンなどなど、いろいろなところで見聞きすることがあります。

何か思い切って決断したということかな?と、前後の文脈からは意味が判断できそうですね。

ですが、「腸を断つ」という漢字がなにやら恐いですし、どうして「断腸」がそうした場面で使われるのかは、調べたことがないとわかりにくいと思います。

今回は、「断腸の思い」の意味や由来と使い方!「苦渋の決断」との違いは?についてご説明いたします!

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「断腸の思い」の意味

「断腸の思い」は「はらわたがちぎれるほど悲しく辛い思い」という意味です。

「だんちょうのおもい」と読みます。

「はらわたがちぎれる」というのがすごい表現ですよね。

「断腸の思い」というのはまさに普通にはありえないような、尋常でない辛さ、激しく悲しい苦しい思いという意味です。

はらわたがちぎれるといっても、肉体的に(お腹が痛いとか、怪我をして痛いとか)辛いということではなく、心の悲しみ、辛さが激しいものであるということを指します。

>>「英断」の意味と使い方!「決断」との違いは?【類義語・対義語】

「断腸の思い」の由来

「断腸の思い」は、腸が断たれるという、かなり怖い字を書きますね。

それがなぜ、悲しく辛い思いという意味なのでしょうか。

「断腸の思い」の由来は、中国の『世説新語』という逸話集にあります。

晋の武将である桓温が、船で蜀へ行く途中で、従者が子猿を捕らえました。

子猿を船に乗せて出発すると、その後を母猿が岸伝いに追いかけてきました。

やがて、船が岸に近づいた時に母猿は船に飛び移ることができましたが、そのまま死んでしまいました。

従者が母猿の腹を裂いてみると、はらわたがズタズタに断ち切れていました。

このことから、はらわたがちぎれるほどの悲しく辛い思いを、「断腸」とか「断腸の思い」と言うようになったのです。

とても可哀想な逸話ですが、「断腸の思い」はこのような命を落とすほどの大変つらく悲しい思いを表しているということですね。

「断腸の思い」の使い方

「断腸の思い」は、とても悲しい思いやとても辛い思いをするということを指して使います。

「断腸の思いだ」とか「断腸の思いで○○する」という使い方が一般的です。

  • 断腸の思いで決断する
  • 断腸の思いで諦める

などの使い方をします。

深い悲しみや、激しい心の痛みを表しますから、日常のちょっとした行動や気軽な選択などについては使いません。

「風邪気味だったので、断腸の思いで学校を休む」など、確かにその日学校を休みたくなかったのだとしても、誰でも経験するような小さな決断を「断腸の思い」などというのは大げさすぎて不適切です。

大きな悲しみや苦しみを持って決断した、というような時に使いましょう。

【例文】

  1. 御社のご希望にお応えすることができず、断腸の思いです。
  2. 念願の全国大会だが、足を怪我してしまい断腸の思いで出場を断念した。
  3. 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、断腸の思いでイベント中止を決定した。
  4. 20年続けてきた店だが、断腸の思いで閉店することにした。
  5. 長年大切にしてきたコレクションだが、引越しのため断腸の思いで処分することにした。

「苦渋の決断」との違いは?

「断腸の思い」と同じように、辛い思いをすることを指して使う言葉に「苦渋の決断」があります。

こちらもニュース、ビジネスシーン、そのほかいろいろな場面で使われています。

似ていますが、「断腸の思い」と「苦渋の決断」のそれぞれの意味は

  • 「断腸の思い」は「はらわたがちぎれるほど悲しく辛い思い」
  • 「苦渋の決断」は「苦しく辛い思いをして決断すること」

となります。

どちらも辛い思いをしますが、違いは「断腸の思いの方が辛さや苦しみが強い」ということです。

「苦渋」は「物事がうまく進まず苦しみ悩む」ということです。

その語源は、読んで字のごとく「苦くて、渋い」ということです。

苦くて渋いものを食べた時のように、苦しい思いをするということです。

それに対して「断腸」は、「はらわたが断たれる」ということです。

当然、苦いものを食べるよりもはらわたがちぎれる方が苦しいですね。

ですので、「苦渋の決断をする」というよりも、「断腸の思いで決断する」の方が、より辛さ、悲しみ、苦しみといった思いを強く表します。

「苦渋の決断」も「断腸の思い」のように、苦しく辛い思いをして何かを決断するという時に使えますので、使い方はほぼ同じです。

その辛さの程度の違いであるということです。

【「苦渋の決断」の例文】

  1. 苦渋の決断であったが、店をたたむことにした。
  2. 彼を代表から外すのは苦渋の決断だった。
  3. コピー商品が多く出回っているため、苦渋の決断でパッケージを変更した。

「断腸の思い」の類義語

「断腸の思い」の類義語には次のようなものがあります。

  • 胸が張り裂ける思い
  • 悲痛な思い
  • 身を切られる思い
  • 胸がつぶれる思い
  • やりきれない思い

いろいろな表現で、悲しみや苦しみで我慢できないぐらいであるという気持ちを表すことができますね。

まとめ

「断腸の思い」は、はらわたがちぎれてしまうほどの激しい悲しみや苦しみを表す言葉でしたね。

ニュースなどではしばしば使われていますし、人生においても「断腸の思い」で何かを決断するという場面も今後あるかもしれません。

ぜひ参考になさってください。

最後までお読みくださりありがとうございました!

ABOUT ME
三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。