言葉の意味と使い方

「ご遠慮ください」と「 お控えください」の意味と違いは?強い表現はどっち?

「ご遠慮ください」と「 お控えください」の意味と違いは?強い表現はどっち?

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  • 会場内での喫煙はご遠慮ください
  • 出入り口付近への駐車はご遠慮ください
  • 上映中は携帯電話のご使用はご遠慮ください

いきなり禁止事項を色々と書きましたが、このような注意書きやアナウンス、よく目にしたり聞いたりしますよね。

仕事の上でも「ご遠慮ください」と仕事相手やお客さまに言うこともあると思います。

また、よく似た表現で「お控えください」というのもありますね。

「ご遠慮ください」や「お控えください」って、本当のところはどういう意味なんでしょうか?

どう違うんでしょうか?

よく知っているようで知らないのではないでしょうか。

今回は、「ご遠慮ください」と「お控えくださいの」意味と違いは?強い表現はどっち?について、ご説明いたします!

「ご遠慮ください」「お控えください」の意味

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「ご遠慮ください」の「遠慮」とは

  1. 他人に対して、言葉や行動を控えめにすること。
  2. 辞退すること。また、ある場所から引き下がること。
  3. 遠い将来までを考えること。
  4. 江戸時代、武士や僧に科した刑罰の一つ。自宅での籠居を命じたもの。

という意味です。

元々は3の意味だったそうですが、今では1または2の意味で使われていますね。

「お控えください」の「控える」とは

  1. 用事や順番にそなえてすぐそばにいて待つ。
  2. 度を超さないように分量や度数などを少なめに抑える。
  3. 自制や配慮をしてやめておく。
  4. 念のため書きとめておく。

という意味です。

今回は2や3の意味ですね。

ということは、「ご遠慮ください」「お控えください」はどちらも「控えめにしてください」という意味になります。

二つとも正しくは「自制して、やめてください」という禁止の意味

しかし、これは間違いなのです!

正しくは、「自制して、やめてください(しないでください)」という禁止の意味なのです。

「控える」の3の意味が近いですね。

ですので、「ご遠慮ください」「お控えください」と書いてあっても「遠慮がちにならやってもいい」「ちょとだけならやってもいい」ということではありません。

「やってはいけません」という意味だと捉えてくださいね。

「ご遠慮ください」は間違った日本語?

ここで衝撃の事実を発表します。

「ご遠慮ください」は、厳密には間違った日本語なんです。

というのも、「遠慮」とは先に見たように「他人に対して、配慮して言動を控えめにすること」という意味です。

自分の行為に対して「遠慮しながら⚪︎⚪︎する」「遠慮します」などということはできても、本来は人に対して使う言葉ではないのです。

「ご遠慮ください」は、敬語表現でありながら、相手が遠慮することを強要するというおかしな言葉遣いなのです。

ただ、厳密には間違いですが、今では「やめてください」の敬語表現として頻繁に使われています。

使われた方も問題なく受け取ってコミュニケーションがとれていると思います。

ですので、今では「間違いである」とは言えなくなっているんですね。

「ご遠慮ください」と「お控えください」の違い

では、どう違うのでしょうか?

「遠慮」と「控える」は、どちらも「自分から配慮して言動の度合いや回数を少なめに抑える」というような意味でした。

ただ、「遠慮」というのは「漢語」です。

漢語というのは昔に中国から伝わって日本語になった言葉や、日本で漢字の音を組み合わせて作った言葉のことです。

「遠」も「慮」も音読みですね。

漢語は響きがかたく、かしこまった印象になるので書き言葉によく使われます。

一方、「控える」は訓読みで、「和語」です。

和語とは日本固有の単語のことです。

漢語よりもぐっと柔らかい響きになりますので、話し言葉に多く使われます。

このように「ご遠慮ください」と「お控えください」には和漢の語種の違いがあります。

「お控えください」の方がなんだか優しそうに聞こえませんか?

強い表現はどっち?

先ほど「遠慮」は漢語、「控える」は和語と説明いたしました。

「遠慮」はもともと「人に対して言動を控える」という意味でしたから、その「遠慮」を強要するという意味でも少しキツイ言い方です。

言われた方の身になると、「ご遠慮ください」と言われた方がより強く感じるでしょう。

なので、「ご遠慮ください」と「お控えください」を比べると、「ご遠慮ください」の方が強い表現ということになりますね。

ただし、どちらも「遠慮ぎみにやってもいい」ではなく「やってはいけない」という意味なので、くれぐれもお忘れなく。

同じ意味で他の言い方としては

  • おやめください
  • ご容赦ください
  • お断りいたします

などがあります。

「お断りいたします」などは非常にストレートな表現ですよね。

時にははっきり「断る」と言い切った方がいい場合もあるかもしれません。

時と場合に応じて使い分けましょう。

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まとめ

普段何気なく目にしている注意事項、禁止事項の表現について考えてみました。

「しないでください」とはっきり言わず、「遠慮」「控える」などという言葉を使って表現しているところがなんとも日本語的だと思いませんか?

身近な言葉の意味も、よく考えてみると色々な発見がありますね。

最後までお読みくださりありがとうございました!

ABOUT ME
三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。
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