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「下命」の意味と使い方!「下命を拝する」(山月記)とは?【類義語・例文】

「下命」の意味と使い方!「下命を拝する」(山月記)とは?

高校の国語の授業で扱われることも多い、中島敦『山月記』。

結構難しい言葉が多くて、現代文なのに意味がわからなかったりするんですよね。

そんな言葉の一つが「下命」です。

「下命を拝さねばならぬ……」とありますが、「下命を拝する」というのはどういうことなのでしょうか。

「下命」はビジネスシーンでも「ご下命」などと時々見聞きすることがあります。

ぜひこの機会に「下命」の意味を知っておきましょう。

今回は、「下命」の意味と使い方!「下命を拝する」とは?【類義語・例文】についてご説明いたします!

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「下命」の意味

「下命」は「命令を下すこと」という意味です。

「かめい」と読みます。

命令そのものや、もしくは注文を意味することもあります。

命令を「下す」わけですから、命令をする側の相手を敬った表現になります。

「下命」の使い方

「下命」は命令を下すことや、その命令のことを表します。

命令によって何かをする場合には、例えば「下命により○○する」といった使い方をします。

「ご下命」とするとより丁寧な言い回しになります。

ビジネスシーンなどでは、よく「ご下命ください」などという使い方をします。

この場合は、「用事があれば命じてください」とか「注文してください」といった意味になります。

「ご用命ください」をさらに丁寧にしたものとして使えるわけですね。

例文で使い方を確認しましょう。

【例文】

  1. 王のご下命があれば、我々兵士一同はただちに決起いたします。
  2. 上司からの下命に対する結果報告を行う。
  3. ぜひ当社へご下命ください。
  4. ご下命あり次第、すぐに手配いたします。

「下命を拝する」とは?

「下命」はビジネスシーンでもよく使う言葉ではありますが、改まった言葉ですので、文学作品の中でも用いられています。

中島敦『山月記』には次のような一文があります。

曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。(「青空文庫」より抜粋)

簡単に訳すと、

以前同期だった仲間たちはすでにはるかに高い地位についており、彼が昔鈍いやつだと思って相手にしていなかったその連中の命令を受けなくてはいけないことが、昔の秀才・李徴の自尊心をどれほど傷つけたかは想像に難くない。

ということですね。

この「下命を拝する」という表現は、「上の立場の人から下の人へ下された命令をありがたく受ける」ということです。

「拝する」というのは「受ける」の謙譲語、つまり自分がへりくだって相手に対する敬意を表して「お受けする」「拝受する」という意味になります。

李徴は詩人になりたかったのですが、貧乏暮らしに耐えかねて、妻子の生活のためにも地方役人の職をもらうことになったのです。

それで、かつての同輩からの「下命を拝する」ことになったのですね。

それまでにも、李徴は非常に優秀で若くして役人になりながらも、その地位に満足せず詩人として名を成すために仕事をやめてしまったなどという描写があり、李徴がとてもプライドの高い人物であることがわかります。

そういう性格の人物が挫折して、いままで下に見ていた同輩からの命令をありがたくお受けしなくてはいけない立場になったということで、さぞ悔しかったことでしょう。

「下命を拝する」は、普通は「偉い方からの命令をありがたくお受けする」という意味で、相手への敬意を表す表現として使われます。

ですが、『山月記』ではあえてこのような使い方をすることで、李徴の悔しさや傷ついた心情を効果的に表しているのではないでしょうか。

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「下命」の類義語

「下命」の類義語には次のようなものがあります。

  • 司令(軍隊や艦隊、消防などで、ある部署を指揮すること。また、その人)
  • 指令(上の者が下の者へ指図・指揮すること)
  • 使命(与えられた任務)
  • 指命(人命や任務などを指定して命じること)
  • 命令(上位の者から下位の者へあることをするよう命じること)
  • 指示(こうせよと指図すること)
  • 下知(上から下へ指図すること)
  • 沙汰(決定したことなどを知らせること。または、命令・指示。下知)
  • 注文(品質や数量、形などを指定して作らせたり送らせたりすること。また、こうしてほしいと指図をし、希望すること)

「下命」の対義語

「下命」の対義語は特にありません。

反対の意味を考えるとするなら、上の者から下の者へ命令をすることを「下命」と言いますので、下の者から上の者へすることといえば、

  • お願い
  • 嘆願(事情を述べて願うこと)
  • 懇請(折り入って頼み願うこと)
  • 哀願(折り入って頼み願うこと)

などになるでしょうか。

まとめ

「下命」は命令を下すことや、その命令のことを指す言葉でしたね。

敬意を表す丁寧な言葉ですから、「当社へご下命ください」など、ビジネスシーンでも使いやすそうですね。

ぜひ参考になさってください。

最後までお読みくださりありがとうございました!

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三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。