言葉の意味と使い方

「執拗」の意味と使い方!「執拗以上」は「必要以上」の誤用?|例文

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「執拗」は、ニュースなどでよく用いらている言葉です。

「執拗に追い回す」「執拗な人」など、あまりいい印象はないのではないでしょうか。

この「執拗」ですが、気軽な会話で使う言葉ではないので、少し意味がわかりにくいと思っている人もいるかもしれませんね。

誤用されることもある言葉なので、しっかり確認をしておきましょう。

今回は、「執拗」の意味と使い方!「執拗以上」は「必要以上」の誤用?|例文についてご説明いたします!

「執拗」の意味

執拗な男性

「執拗」は「しつこいさま」「自分の意見にいつまでもこだわり続けるさま」という意味です。

「しつよう」と読みます。

「しつおう」と読むこともありますが、「しつよう」の方が一般的です。

「執」は「とりおこなう」「あつかう」「こだわる」「つかまえる」といった意味がある漢字です。

ここは「こだわる」という意味ですね。

他にも「執念」や「固執」などの熟語もあります。

「拗」は「ねじる」「すねる」「しつこい」という意味がある漢字です。

どれも嫌な感じですが(笑)、ここは「しつこい」という意味で使われています。

「執拗」は、「しつこくこだわる」という漢字の意味通りで、粘り強くしつこいことや、自分の意見にこだわってあくまで我を通そうとすることを表す言葉です。

例えば「執拗な人」なら「頑固で自分の主張を絶対曲げないしつこい人」ということになります。

「執拗」は必ず悪い意味というわけではないですが、悪い意味で使われることが多い言葉です。

>>「固執」の正しい読み方は「こしつ・こしゅう」どっち?意味と使い方を解説

「執拗」の使い方

「執拗」は、しつこいことや自分の意見に固執するさまを表す言葉です。

単に「しつこい」と言うよりもかたい言葉である分、そのしつこさが強調されますのでネガティブな文脈で使われる言葉です。

相手に向かって「執拗ですね」などと言うのはかなり悪い意味ですから気をつけましょう。

「執拗」は形容動詞ですから、

  • 執拗だ
  • 執拗に○○する
  • 執拗な○○
  • 執拗さ

といった使い方が多いです。

「執拗以上」は「必要以上」の誤用?

「執拗」を使った四字熟語的に「執拗以上」という言葉を見かけることがあります。

口頭で「しつよういじょう」といっている人もいるようです。

ですが、「執拗以上」は間違いです。

正しくは「必要以上」です。

江戸っ子などで「ひ」を「し」と発音する習慣がある場合は「ひつよういじょう」を「しつよういじょう」と言ってしまっているだけかもしれませんが、

それ以外の場合は、音が似ているため「必要」と「執拗」を混同していると思われます。

「必要以上」は求められているよりも程度が高いさまや量が多いさまを表す言葉です。

  • 執拗以上に高い金を払う
  • 執拗以上に食べてしまう

このような使い方は、「必要以上」の覚え間違い、書き間違いということですね。

  • 執拗以上に嫌がらせをする
  • 執拗以上につきまとう

このような使い方をされているときは、「必要以上」との混同とともに、とても「執拗」であるという意味もあって使われているのかもしれません。

ですが、「執拗以上」という言葉はありませんので、間違いであると理解しておきましょう。

「執拗不可欠」も間違い!

同じように「執拗不可欠」も「必要不可欠」の間違いです。

「必要不可欠」はとても必要で欠かすことができないという意味です。

「執拗不可欠」では「執拗で、それが欠かすことができない」という意味になってしまいますので不適切です。

「執拗」の例文

  1. 何度断っても執拗に付きまとってくる。
  2. 幅寄せをしたり執拗に追い回したりするあおり運転が社会問題になっている。
  3. あの会社は訪問販売で執拗な勧誘をしたとして業務停止になった。
  4. 彼は破り捨てた紙を執拗に踏みつけてから立ち去った。
  5. 彼女は上司からの指示に執拗に反論する。
  6. 彼は執拗に不当な要求を繰り返す悪質なクレーマーだ。
  7. 記者は大臣に執拗に食い下がって質問をした。

「執拗」の類義語

「執拗」の類義語には次のようなものがあります。

  • しつこい(うるさくつきまとう。物事にこだわって煩わしい感じである)
  • くどい(しつこくてうるさい)
  • しぶとい(強情だ。困難に負けずねばりづよい)
  • 意固地(意地を張ってつまらぬことに頑固なこと)
  • 片意地(頑固に自分の考えを通すこと)
  • 強情(意地を張ってなかなか自分の考えを変えないこと)
  • 頑固(頑なで意地をはること)
  • 頑な(意地を張って自分の主張を変えないさま)

「執拗」の対義語

「執拗」の対義語には次のようなものがあります。

  • 淡白(あっさりしていること。こだわりやしつこさがないこと)
  • 平淡(とりつくろうことがなく、あっさりして趣があること)
  • 淡々(あっさりしているさま。こだわりやしつこさがないさま)
  • あっさり(性質や状態がしつこくなくさっぱりしているさま)

まとめ

「執拗」は「しつこいさま」「自分の意見にいつまでもこだわり続けるさま」という意味です。

ねばり強いということでもありますが、大抵はしつこい、あくまでも我を通そうとするというネガティブな意味で使う言葉です。

「必要」と音は似ていますが、意味は違いますので混同しないようにしましょう。

最後までお読みくださりありがとうございました!

ABOUT ME
三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。
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