言葉の意味と使い方

「適宜」と「適時」の意味と違い!「適時適切」とは?【例文】

「適宜」と「適時」の意味と違い!「適時適切」とは?【例文】

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世の中にはよく似た言葉がありますよね。

「適宜」と「適時」もその一つです。

「適宜~する」「適時~する」とはよく聞く言い回しですが、とてもよく似ていますよね。

意味の違いや、どちらがどちらかということを意識して使ってはいないという人も多いかもしれません。

社会人になると、ビジネスマナーとしても正しい日本語を使いたいところです。

しっかり確認しておきましょう。

今回は、「適宜」と「適時」の意味と違い!「適時適切」とは?についてご説明いたします!

「適宜」の意味

「適宜」は「状況によく合っていること」「各自がよいと思うようにすること」という意味です。

「てきぎ」と読みます。

「宜」は「宣伝」の「宣」と間違いやすい漢字ですが、「宜」は「ぎ」と読む別の漢字ですので「てきせん」などと読まないよう気をつけましょう。

その時のその状況によく合うように行うさま、またはその時々の状況に応じて各自の判断で行動すること、という意味です。

「適」は「適切」「快適」などの熟語でよく使う漢字で、「ふさわしい」「こころよい」などの意味があります。

「宜」は「(都合が)よい」「当然である」などの意味がある漢字です。

漢文を習ったことのある人なら「宜」は「よろしく~べし」と読む再読文字(意味は「~するのがよい」)としてご存知でしょう。

どちらの漢字の意味からしても「適宜」は「都合がいいようにする」のような意味になりますね。

【例文】

  1. 個別のご相談にも適宜対応いたします。
  2. 現地に到着したら適宜昼食をとってください。
  3. 部品は多めに入っていますので、作るものの大きさに合わせて適宜使用してください。

「適時」の意味

「適時」は「ちょうど適当な時」という意味です。

「てきじ」と読みます。

「適」は同じく「ふさわしい」などの意味で、「時」は時間の「時」ですね。

まさに「適当な時」という意味です。

ちなみに野球のタイムリーヒット(これも和製英語ですが)のことを「適時打」と言います。

塁上に走者がいるちょうどいい時にヒットを打って得点を得る、ということですから「適時」の安打なんですね。

【例文】

  1. 適時仕事を終えて解散してください。
  2. 職員用トイレの清掃は適時行っています。
  3. 適時に休憩を取る。

「適宜」と「適時」の違い

「適宜」と「適時」はどちらも「ちょうどよく」という意味があります。

字も音も似ているので混同されがちですが、違いを確認しておきましょう。

「適宜」の方は、「宜」が「よい」という意味でしたので、色々な意味で「ちょうどよい」ということです。

一方「適時」の方は、「時」ですので、「ちょうどよい『とき』」ということになります。

ざっくりまとめると、「適宜」は何に関しても「ちょうどよい」で、「適時」は「ちょうどよい『とき』」です。

「適宜」の方が広い範囲を表す言葉だと考えてよいでしょう。

  • 「適宜」は「ちょうどよい時」「ちょうどよい量」「ちょうどよいやり方」などなどさまざまな意味で「ちょうどよい」ということです。
  • 「適時」は「ちょうどよい時に」「タイミングよく」「タイムリーに」ということです。

「適宜」と「適時」にはこのような違いがありますので、使い分け方を覚えておきましょう。

【例文】

  1. 生地が固い場合は、水を適宜加えて全体を混ぜてまとめます。(必要であればタイミングや量を判断して加える)
  2. 200mlの水を適時加えます。(200mlの水をタイミングよく加える)

「適時適切」とは?

「適時」は「ちょうどよい時」「タイムリー」という意味でした。

この「適時」を用いた言い回しに「適時適切」というのがあります。

「適時適切な対応をする」「適時適切な判断をする」というような使い方で、政治家の答弁やニュースでもよく聞きますし、ビジネスシーンで用いられることも多い言葉です。

この「適時適切」はいうまでもなく「適時」と「適切」を合わせた言葉ですから、そのまま解釈すると「ちょうどよい時に適切に」となると思います。

もう少し詳しい説明をすると、「適時適切」は「物事を行うタイミングや方法が適切であること」という意味です。

ビジネスシーンでは、主に企業の経営情報などの開示に関する言葉です。

投資家などに会社の正確な経営情報をタイムリーに開示します、というような時に「適時適切」が使われます。

【例文】

  1. 弊社では株主・投資家の皆様に正確な情報を適時適切に開示しております。
  2. 保険金の適時適切なお支払いに努めております。
  3. 大臣は「適時適切に判断する」と繰り返すばかりであった。
  4. 関係諸国と連携し、引き続き適時適切な対応をとることなどの指示が総理より出された。

まとめ

「適宜」と「適時」の意味や違いがお分かりいただけたでしょうか。

よく耳にする割には、なかなか改めて考える機会のない言葉だったかもしれません。

ぜひ正しく意味を理解して、適宜に、あるいは適時に使っていきたいものですね。

最後までお読みくださりありがとうございました!

ABOUT ME
三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。
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