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「万緑」という季語をご存じでしょうか。
俳句や連歌を作るうえで欠かすことの出来ない季語。
様々な美しい表現が特徴的ですが今回はその中の1つ「万緑」について解説していきます。
「万緑」について基本的な意味はもちろん、いつの季語なの?といった疑問や「万緑」を使った俳句や例文もご紹介いたします。
関連 「万緑の候」の時期はいつからいつまで?結びや使い方と例文
「万緑」の意味と読み方
「万緑」とは、見える風景一面が緑に包まれている夏の光景を表現した言葉です。
読み方は「ばんりょく」であり「まんりょく」ではありません。
間違えて覚えやすい言葉なので覚える際はお気を付けください。
「万緑」の緑は新緑の若々しいものではなく、どちらかというと梅雨が明けて生き生きとした貫禄すらも感じる緑なんですよ。
元々は「万緑叢中紅一点」という王安石による漢詩であり、ここから「万緑」という言葉が抽出されて使われるようになりました。
俳人である中村草田男が書いた「万緑の中や吾子の歯生え初むる」という俳句で使われたことがきっかけで、新季語として使われるようになりました。
「万緑」はいつの季語?
「万緑」は俳句を作る上で「三夏」の季語となっています。
三夏とは、旧暦4月から6月までの期間を指しており、夏の時期を限定した季語とは異なり、夏という季節を通して使う事が出来る季語なんですよ。
子季語には「茂」や「青葉」などがあります。
「万緑」の使い方
自分が一面の緑の中に立っているという事を表す言葉として使われます。
俳句の季語としても使われていますが「万緑の候」としてビジネス文書などの時候の挨拶としても使われています。
時候の挨拶として使われる場合は春の終わりごろから初夏頃まで使う事が出来ます。
「万緑」の例文
- 万緑の中に一人佇む
- 色鮮やかな万緑の候、貴社におかれましてもますますご発展の事と拝察いたします。
- 万緑眩しい季節となりました。〇〇様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
「万緑」を使った俳句
万緑に道あり今も秘境の地
(ばんりょくに みちありいまも ひきょうのち)
稲畑汀子
万緑の中や吾子の歯生え初むる
(ばんりょくの なかやあごのは はえそむる)
中村草田男
万緑へ滝落したる熊野かな
(ばんりょくへ たきおとしたる くまのかな)
田中佐知子
まとめ
季語は俳句だだけではなく、手紙やビジネス文書などの時候の挨拶でも多く使われており数多く覚えて損はありません。
春夏秋冬、日本を美しく彩る四季ならではの情景を繊細かつとても美しく表現した言葉ばかりなので眺めているだけでもとても楽しいんですよ。
季語と実際の景色を見比べる、などという楽しみ方も面白いですね。
日本にしかない「季語」という言葉で季節の移り変わりをより詳しく感じてみてはいかがでしょうか。