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「彼は失笑した」
こう聞いて、どのような笑いを思い浮かべますか?
呆れてバカにした感じで笑うような状況を思い浮かべませんでしたか?
「失笑」はバカバカしくて思わず呆れて笑ってしまう、呆れてしまって笑うに笑えないといった意味で使われることが多い言葉です。
ですが、この「呆れた笑い」という意味で「失笑」を使うことは、実は間違いだと言われているのです。
本当の「失笑」とはどんな笑いなのでしょうか。
ぜひ確認しておきましょう。
今回は、「失笑」の意味は呆れた笑いではない?「失笑を買う」とは?正しい使い方を知ろう!についてご説明いたします!
失笑の意味は呆れた笑いではない?
実は、「失笑」は「思わず笑い出してしまうこと。こらえきれず吹き出して笑うこと」と言う意味です。
「しっしょう」と読みます。
あれ?と思った人も多いかもしれませんね。
じつはこの「失笑」は、多くの人が本来の意味ではない使い方をしている言葉なんです。
平成23年度「国語に関する世論調査」では、「失笑」を本来の意味の「こらえきれず吹き出す」意味で使っている人は27.7%でした。
それに対し、本来の意味ではない「笑いも出ないくらいあきれる」という意味で使っている人は60.4%にものぼるという結果でした。
正しい意味と、誤用が逆転してしまっていますね。
「失笑」の「失」は、「誤り」という意味がある漢字なのです。
うっかり余計なことを言ってしまうことを「失言」、うっかりしてしくじることを「過失」と言いますよね。
「失」は「うっかり」の意味で使われていますので、「うっかり笑ってしまう」、つまり笑ってはいけないような場面でこらえきれず吹き出してしまったり、笑うつもりがなかったのにおかしくて笑ってしまう、というようなことを「失笑」と言うのです。
それが「呆れた笑い」「笑いも出ないぐらい呆れる」という意味で間違って使われるようになったのは、おそらく「失」にはその通り「失う」という意味があるからでしょう。
「笑いを失う」と解釈されたわけですね。
もしくは「失礼な笑い」と解釈されたのかもしれません。
ですが、本来の「失笑」は相手を見下して呆れる、呆れて笑うという意味ではなく、「思わず笑ってしまう」という意味なので気をつけましょう。
「失笑を買う」とは?
「失笑」はよく「失笑を買う」という言い回しで使われます。
「失笑を買う」は「愚かな言動のために笑われる」という意味です。
「失笑」が「呆れた笑い」という間違った意味で一般的に理解されているので、「失笑を買う」も呆れられて見下されて笑われる、もしくは軽蔑されて笑えないといったような意味であると考える人も多いようです。
ですが、「失笑を買う」は愚かな言動をして他の人から笑われるという意味であり、本来は呆れられる、見下されるというような意味は含みません。
他にも「失笑」は
- 失笑が漏れる
- 失笑が広がる
- 失笑を禁じ得ない
といった使い方をしますが、いずれも「笑ってはいけないような場面で、おかしくてこらえきれず笑ってしまう」という意味で使うため、「呆れて笑ってしまう」「笑えないぐらい呆れる」という意味で捉えても意味が通じるのでこうした誤解、誤用を招いたのでしょう。
「失笑」の正しい使い方
「失笑」はおかしくて思わず笑ってしまうさまを表す言葉です。
繰り返しになりますが、笑ってはいけないような場面でこらえきれず笑ってしまう、という意味なので、呆れた笑い、軽蔑の笑いと言った意味で使ってしまわないよう注意しましょう。
例文で「失笑」の使い方を確認しておきましょう。
【例文】
- 彼の滑稽な動きに失笑した。
- 彼女の話が面白くて失笑した。
- お葬式でお坊さんがお経を間違えたので失笑してしまった。
- 的外れな発言をして失笑を買った。
- 彼女の歌が予想以上に下手だったので人々から失笑が漏れた。
- 彼は真面目なスピーチの最中に駄洒落を挟んでくるので一気に失笑が広がった。
「失笑」は「呆れた笑い」ではなく「思わず笑ってしまう」という意味です。
ですから、本来は呆れた、軽蔑したという悪い意味ではなく、面白くて笑ってしまったというような意味でも使うことができるわけです。
ですが、一般的には誤用の「失笑」の方がよく使われていますよね。
せっかく正しい意味を知っても、「あなたの話に失笑しました!」などと言ってかえって相手に「私の話に呆れたんだな」と失礼な印象を持たれてしまうかもしれません。
「失笑」は使う相手や場面には要注意ですね。
うまく他の言葉に言い換えるなどの工夫も必要でしょう。
「失笑」の類義語
「失笑」の類義語には次のようなものがあります。
- 吹き出す
「吹き出す」も「こらえきれずに笑い出す」意味なので、「失笑」と同じように使えます。
「吹き出す」であれば、「失笑」ほどネガティブな意味で誤用されることはないので、誤解を招かずに言い換えることができますね。
他にも
- 思わず笑う
- どっと笑う
など、「がまんできず笑ってしまう」意味の言葉で言い換えることができますね。
「呆れた笑い」という意味で「失笑」を使ってしまっている人も多いです。
この、誤用の「失笑」は
- 苦笑(苦々しく思いながらもしかたなく笑うこと)
- 冷笑(さげずみ、見下した態度で笑うこと)
- 嘲笑(あざけって笑うこと)
- 憫笑(あわれんで笑うこと)
薄笑い(かすかに表情を動かしただけの笑い。多くは困惑したり軽蔑したりするときの笑い)
などの言葉で言い換えることができますね。
まとめ
「失笑」は「呆れた笑い」ではなく、「こらえきれず笑ってしまう」という意味でした。
今まで誤解していた人もきっと多いですよね。
正しい意味を知ると、呆れた、軽蔑したなどというネガティブな意味ではなく、本当に面白くて思わず笑ってしまうという場面でも使えるということがわかると思います。
ですが、正しい意味を知らない人も多いので、使い方によっては誤解を招いてしまうこともあるかもしれません。
正しい意味を理解した上で、使い方にはくれぐれも注意したいですね。
最後までお読みくださりありがとうございました!