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「ふつつか」という言葉があります。
よくドラマなどで、結婚の挨拶の時に新婦の両親が「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」と言っています。
それ以外には、あまり普段の生活の中で口にする言葉ではないかもしれませんね。
なんとなくへりくだった言い方なのかな?ということは察せられると思いますが、はっきりと意味がわかる人は案外少ないのではないでしょうか。
ビジネスシーンではさほど頻繁に聞く言葉ではないとはいえ、何かの折に耳にしても正しく理解できるようにしたいですね。
この機会に意味や使い方、語源なども合わせて確認しておきましょう。
今回は、「ふつつか」の本来の意味や語源と使い方!「ふつつか者」とは?についてご説明いたします!
「ふつつか」の意味
「ふつつか」は「気のきかないさま。行き届かないさま。不調法」という意味です。
漢字では「不束」と書きます。
他にも「太くて丈夫なさま」「太くて不恰好であるさま」「風情がなく、下品であるさま」という意味がありますが、ほとんど使われることはないといっていいでしょう。
「ふつつかですが……」などと言われた場合は、まず最初の意味であると思ってよいでしょう。
花嫁の両親が「ふつつかな娘ですが……」というのは、自分の娘のことを「ふつつか」、つまり気が利かない娘ですが、行き届かない娘ですが、と言っているわけです。
日本独特の、身内のことを謙遜して言う言い方ですね。
「ふつつか」の本来の意味、語源
「ふつつか」は、もともとは「太束(ふとつか)」という言葉でした。
のちに「ふつつか」に音が変化し、「不束」という当て字ができたそうです。
「太束」は、「太く丈夫なさま」という意味の言葉で、決して今のように悪い意味の言葉ではありませんでした。
それが平安時代頃から「趣に欠ける、野暮ったい」という意味を持つようになっていきました。
ちょうどこの頃は日本文化が花開き、繊細で雅やかなものをよいとする美意識が広まった時代でした。
ですから、「太く丈夫」というのは風流ではないとされたのですね。
その後「ふつつか」は「趣に欠ける、風流でない」という意味の方が主流になっていきました。
やがて近代に入り、今のような「気がきかない」などの意味になったということです。
「ふつつか」の使い方
「ふつつか」は「気のきかないさま」「不調法」などという意味です。
ですから、「あの人はふつつかだ」と言っても意味は通じますよね。
ですが、実際には「ふつつか」は「~ですが」「~ながら」「~ではありますが」など、逆接を表す言葉とともに使われることが非常に多い言葉です。
自分や自分の身内を「ふつつかですが」と言うことで、「気がきかない者ですが」というような、へりくだった謙虚な言い方になるわけです。
また、ひとに対して「ふつつか」を使う場合、「ふつつかな娘」「ふつつかな嫁」などと言うほかに、「ふつつか者」という表現がよく使われます。
【例文】
- ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします。
- ふつつかながら、精一杯努めます。
- ふつつか者ですがよろしくお願いいたします。
「ふつつか者」とは?
では、「ふつつか者」とはどんな人物のことを指すのでしょうか。
「ふつつか者」は、「気のきかない人。行き届かない者」という意味です。
これも、「あなたはふつつか者ですね」などというよりは、「ふつつか者ですが……」と、自分や自分の身内のことを謙遜する言い方として使われることが多いです。
また、「ふつつか者」に似た意味の言葉には次のようなものがあります。
- 若輩(年が若い者、未熟で経験が浅い者)
- 未熟者(経験が十分でなく、技能が身についていない者)
- 至らぬ者(配慮が不十分な者)
いずれも「〜ですが……」とすることで、自分や身内を謙遜した言い方になります。
まとめ
「ふつつかですが……」は、自分のことや自分の身内のことをへりくだって表現する、日本語ならではの奥ゆかしい言葉です。
社会人として、本当に「ふつつか者」では困りますが、自分のことを謙遜する話法を身につけておくと、目上の方との会話も円滑に進めることができるでしょう。
ぜひ参考になさってくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございました!