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「蚊帳」という季語をご存じでしょうか。
俳句や連歌を作るうえで欠かすことの出来ない季語。
様々な美しい表現が特徴的ですが今回はその中の1つ「蚊帳」について解説していきます。
「蚊帳」について基本的な意味はもちろん、いつの季語なの?といった疑問にもお答えしていきます。
「蚊帳」を使った俳句もご紹介いたします。
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「蚊帳」の意味と読み方
「蚊帳」とは、夜寝る時に寝室及び寝具を天井から覆うようにして使う蚊除けの道具です。
読み方は「かや」「かちょう」「ぶんちょう」と3つあります。
分厚い生地ではなく、自然の風を効率的に取り入れ暑さを凌ぎながらも、蚊から身を守ってくれるという古くから使われている道具なんですよ。
奈良時代には既に貴族が絹で作られた蚊帳を使用しており、使われている素材が麻に変わった事で江戸時代には一般市民の間にも広く普及したと言われています。
どの読み方をしても間違いではありません。
「蚊帳」はいつの季語?
「蚊帳」は俳句を作るうえで「夏」の季語となっています。
初夏や晩夏など時期を限定しているものではなく、夏という季節を通して使える「三夏」の季語なんですよ。
子季語には「枕蚊帳」「母衣蚊帳」「初蚊帳」など蚊帳に関するたくさんの言葉があります。
「秋の蚊帳」とは?
「蚊帳」という言葉は夏の季語ですが、初秋の季語に「秋の蚊帳」という言葉もあります。
これはお盆を過ぎてもまだまだ暑さが続き、蚊に刺される事も多い事から蚊帳が使われているという意味を持っています。
別名「九月蚊帳(くがつがや)」とも呼ばれており、これは旧暦の9月に入ってもまだ使われている蚊帳という意味なんですよ。
「蚊帳」を使った俳句
はたこ屋に林檎くふ也蚊帳の中
(はたこやに りんごくうやり かやのなか)
正岡子規
つりそめて水草の香の蚊帳かな
(つりそめて みずくさのかの かやかな)
飯田蛇笏
うらぶれて吊るや雨夜の九月蚊帳
(うらぶれて つるやあめよの くがつかや)
日野草城
ひとつ蚊帳妻もみとりを終へて寝る
(ひとつかや つまもみとりを おえてねる)
山口誓子
まとめ
季語は俳句だだけではなく、手紙やビジネス文書などの時候の挨拶でも多く使われており数多く覚えて損はありません。
春夏秋冬、日本を美しく彩る四季ならではの情景を繊細かつとても美しく表現した言葉ばかりなので眺めているだけでもとても楽しいんですよ。
季語と実際の景色を見比べる、などという楽しみ方も面白いですね。
日本にしかない「季語」という言葉で季節の移り変わりをより詳しく感じてみてはいかがでしょうか。