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毎年1月10日を中心に行われる「十日戎（とおかえびす）」は、特に西日本で盛んなお祭りです。
このお祭りは、七福神の一柱であり、漁業の神、そして商売繁盛の神様として知られる恵比寿様（えべっさん）に、一年の商売繁盛や家内安全を祈願するために行われます。
「商売繁盛で笹もってこい！」という威勢のいい掛け声とともに、多くの参拝客で賑わう十日戎は、関西の正月には欠かせない風物詩です。
この記事では、十日戎の意味や由来、そしてこのお祭りに欠かせない縁起物である福笹（ふくざさ）や熊手（くまで）に込められた意味を、詳しく解説します。
十日戎の意味とは？
十日戎は、恵比寿様を祀る神社で、毎年1月9日から11日までの3日間にわたって行われるお祭りです。
| 日付 | 名称 | 意味 |
|---|---|---|
| 1月9日 | 宵戎（よいえびす） | 恵比寿様が本殿にお入りになる日。 |
| 1月10日 | 本戎（ほんえびす） | 祭りの中心となる日。 |
| 1月11日 | 残り福（のこりふく） | 恵比寿様が残り福を授けてくださる日。 |
このお祭りは、恵比寿様のご利益にあやかろうと、商売繁盛や家内安全を願う人々で賑わいます。
特に、大阪の今宮戎神社や兵庫の西宮神社など、恵比寿様を祀る総本社や有名神社では、毎年数百万人もの参拝客が訪れます。
十日戎の由来は？
十日戎は、もともと「えびす講」という恵比寿様を祀る行事の一つです。
由来には諸説ありますが、恵比寿様が釣竿を持ち、鯛を抱える姿から、漁業の神として信仰されていたことが深く関わっています。
1,御狩神事説
恵比寿様が釣竿として笹を使っていることから、漁業の神事である「御狩神事（みかがりしんじ）」が由来とする説があります。
2,江戸時代の風習
大阪の雑喉場（ざこば）魚市場が、毎年1月10日に恵比寿様に大鯛を奉納し、大漁と商売繁盛を祈願したことが、十日戎の吉例となったという説も有力です。
これらの背景から、十日戎は、漁業から転じて商売繁盛を願うお祭りとして、特に商人の街である関西地方で発展していきました。
十日戎の縁起物：福笹と熊手の意味
十日戎の醍醐味は、境内で授与される様々な縁起物です。中でも、「福笹」と「熊手」は、十日戎に欠かせない二大縁起物です。
福笹（ふくざさ）
福笹は、十日戎を象徴する最も代表的な縁起物で、商売繁盛や福を招く縁起物とされています。
福笹の由来
恵比寿様が釣竿として笹を使っているという伝承から、笹自体が恵比寿様とゆかりの深いものとされています。
また、笹は冬でも青々としていることから、商売の生命力や絶え間ない繁栄を象徴する意味も込められています。
参拝客は、授与された笹に、小判、米俵、鯛、打ち出の小槌など、様々な吉兆と呼ばれる飾り物を結びつけてもらい、福を増やしていきます。
熊手（くまで）
熊手は、その形状から「福をかき集める」「お金を呼び込む」という意味が込められた縁起物です。
熊手の由来
熊手は本来、農作業や掃除で枯れ葉やごみをかき集めるための道具でした。
その動作が、福や金運をかき集めるという縁起の良い意味合いに転じ、商売繁盛の縁起物として使われるようになりました。
現代の熊手には、小判、福の神、松竹梅、しめ縄など、幸運や金運を象徴する豪華なモチーフが飾られています。
飾り方は、福の出入口となる玄関や、商売繁盛を祈願する仕事場に飾るのが良いとされています。
まとめ
十日戎は、恵比寿様への感謝と、新たな一年の商売繁盛を願う、日本の大切な伝統行事です。
福笹は商売の生命力と繁栄を、熊手は福をかき集めるという意味を持ち、これらの縁起物を手に入れることで、人々は一年の幸運を願います。
このお祭りの賑わいと、そこに込められた人々の願いを知ることで、十日戎はより一層、心に残る行事となるでしょう。
