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日本は屈指の雪国と言われていますが、雪を表現する言葉の1つに「忘れ雪」というものがあります。
美しい言葉ではありますが、あまり聞きなじみがない言葉なので聞いたことが無いという人も多いのではないでしょうか。
今回は改めて「忘れ雪」について基本的な意味はもちろん、いつの季語なの?「名残の雪」との違いは?といった疑問にもお答えしていきます。
「忘れ雪」を使った俳句もご紹介いたします。
関連 「名残雪(名残の雪)」の意味とは?いつの季語?俳句も紹介
「忘れ雪」の意味
「忘れ雪」とは、冬を過ぎ春も半ばになったころに降りだす雪を指す言葉です。
そのシーズン最後に降る雪ともいわれており「名残雪」「終雪(しまいゆき)」などとも呼ばれています。
春の訪れに喜び、冬の辛さを忘れかけている人の所に思わず降る雪に対して「忘れ雪」と名付けられたと考えられており、切なくも美しい言葉となっていますよね。
「忘れ雪」はいつの季語?
「忘れ雪」は、俳句を作るうえで「春」の季語として使われています。
雪が入っているのに春?と思ってしまいますが、春も半ばになったころに降りだす雪なので春の季語なんですね。
「忘れ雪」と「名残の雪」の違い
「忘れ雪」と「名残雪(名残の雪)」はどちらも春になって降る雪を指しており、意味としては同じ言葉となります。
あえて違いを挙げるとするならば、そのニュアンスの違いではないでしょうか。
冬が去るという事を認識し、なお名残惜しくその場に残っている雪なのか、もう春となっている事、冬が終わったことを忘れて降る雪なのか、はたまた人々が忘れたころに降る雪なのか、という情緒的なニュアンスの違いがあると考えられています。
>>「名残雪(名残の雪)」の意味とは?いつの季語?俳句も紹介
「忘れ雪」を使った俳句
さよならは破れ絵図のごと忘れ雪
(さよならは やぶれえずのごと わすれゆき)
田淵昌子
忘れ雪昨日なりしを春日傘
(わすれゆき きのうなりしを かすががさ)
池田やよひ
カーテンに早き夜明けや忘れ雪
(かーてんに はやきよあけや わすれゆき)
達山丁字
まとめ
雪を表現する名称は時代や地方によってそれぞれ異なります。
その降り方や積もり方によってとても細かく分けられて表現されているので、この雪は何と呼ぶのだろう、と一度考え調べてみるのも新しい冬の楽しみ方かもしれません。
それぞれに付けられた呼び名について考えると、季節を大切にする日本ならではの高い表現力と感受性に驚かされるのではないでしょうか。
厳しい冬が終わり春となったことを告げてくれる「忘れ雪」は北国以外に暮らす人にとっても嬉しいものですよね。
春への喜びと冬が過ぎる事への寂しさを感じさせてくれる言葉が「忘れ雪」なのではないでしょうか。