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スポーツの世界で、一流選手が突然、これまでできていた簡単な動作すらできなくなる現象を「イップス(Yips)」と呼びます。
しかし、近年では仕事において同様の症状を呈する「ビジネスイップス」という言葉も使われるようになり、その意味や対処法が注目されています。
今回はイップスの正確な意味、ビジネスシーンでの具体的な使い方、イップスになりやすい人の特徴、そして単なるスランプとの決定的な違いについて、詳しく解説します。
イップスの意味とは?
イップスとは、それまで問題なくできていた特定の動作やパフォーマンスが、心理的な原因によって突然できなくなる現象を指します。
元々はゴルフ用語として生まれ、パッティングの際に体が硬直したり、手が震えたりして、スムーズなストロークができなくなる状態を指していました。
現在では、野球の送球、ダーツのスローイング、テニスのサーブなど、特定の動作を反復して行う競技において広く使われています。
ビジネスにおけるイップス
イップスの概念は、スポーツの世界から転じて、仕事の場面でも使われるようになり「ビジネスイップス」ともいわれています。
ビジネスにおけるイップスとは、仕事において、これまで問題なくできていた特定の行動(プレゼン、電話、商談、タイピングなど)が、強い緊張や不安といった心理的な原因によって突然できなくなる状態を指します。
これは医学的な正式名称ではありませんが、ビジネスパーソンの間で、心理的なプレッシャーによるパフォーマンスの低下を表現する言葉として浸透しています。
| ビジネスイップスの具体例 | 症状 |
|---|---|
| プレゼンイップス | 聴衆を前にすると、急に声が出なくなる、手が震える、話す内容が飛んでしまう。 |
| 電話イップス | 電話をかける際に手が止まってしまう、受話器を取ることに強い抵抗を感じる。 |
| 商談イップス | 顧客を前にすると、適切な言葉が出てこなくなる、頭が真っ白になる。 |
| タイピングイップス | 特定の書類作成やメール作成の際に、指が動かなくなる。 |
昇進や転職、新しいプロジェクトの責任者になったなど、自己や他者からの高い期待やプレッシャーが引き金になることが多いとされています。
イップスになりやすい人の特徴
イップスは誰にでも起こりうる現象ですが、特に特定の性格傾向を持つ人がなりやすいと言われています。
真面目で責任感が強い人
完璧主義の傾向があり、自分自身に高い期待をかけすぎます。
失敗を極度に恐れるあまり、無意識のうちに動作をコントロールしようとしすぎてしまうことが、イップスを引き起こす原因となります。
練習を頑張りすぎる人(努力家)
努力家である反面、結果が出ないことへの不安や焦りが強く、その努力が報われないことへの恐怖が心理的なブロックを生み出します。
他人の評価を気にしすぎる人
周囲からの期待や評価を過度に気にし、「失敗したらどう思われるか」というプレッシャーを強く感じやすい傾向があります。
感覚よりも理論を重視する人: 動作を細かく分析しすぎたり、理屈で完璧にコントロールしようとしたりすることが、かえって無意識の動作を妨げ、ぎこちなさを生み出します。
イップスとスランプとの決定的な違い
イップスは、単なる「スランプ」と混同されがちですが、その原因とメカニズムには決定的な違いがあります。
| 比較項目 | イップス (Yips) | スランプ (Slump) |
|---|---|---|
| 主な原因 | 心理的な要因(不安、緊張、トラウマ)が主。脳の誤作動に近い。 | 肉体的・技術的な要因(疲労、技術のズレ、モチベーション低下)が多い。 |
| 症状 | 特定の動作・場面でのみ発生。他の動作は問題なくできることが多い。 | パフォーマンスが全体的に低下。 |
| 期間 | 持続的になりやすく、自己回復が難しい場合がある。 | 一時的で、自己調整や練習、休息で回復することが多い。 |
| 対処法 | 心理的なアプローチ、専門家のサポート(心療内科、カウンセリングなど)が必要。 | 自己調整、練習方法の見直し、休息で回復可能。 |
スランプは、技術や体力の問題であるため、練習や休息といった「自己調整」で回復することが可能です。
一方、イップスは、心理的なブロックや脳の誤作動が原因であるため、「頑張って練習する」という従来の対処法が逆効果になることもあり、専門的なアプローチが必要となるケースが多いのが特徴です。
まとめ
イップスは、一流のプロフェッショナルほど陥りやすい、「心と体の不協和音」とも言える現象です。
ビジネスシーンにおいても、このイップスの概念を正しく理解することは、自分自身や部下のパフォーマンス低下に早期に対処するために非常に重要です。
イップスは、「心の病」ではなく、誰にでも起こりうる脳の誤作動のようなものであり、恥ずかしいことではありません。
もし、これまでできていたことが突然できなくなったと感じたら、それは単なるスランプではなく、イップスのサインかもしれません。
その際は、一人で抱え込まず、原因を正しく理解し、適切な休息や専門家のサポートを求めることが、イップスを乗り越えるための第一歩となります。
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