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「慚愧に堪えない」の意味や使い方と語源!「忸怩たる思い 」との違いは?

「慚愧に堪えない」の意味や使い方と語源!「忸怩たる思い 」との違いは?

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「慚愧に堪えない」という言葉を使ったことがあるでしょうか。

謝罪会見などのニュースで見聞きしたことがあると思います。

少し難しい言葉ですが、ビジネスシーンなどでも使われますので、ぜひ確認しておきましょう。

今回は、「慚愧に堪えない」の意味や使い方と語源!「忸怩たる思い 」との違いは?についてご説明いたします!

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「慚愧に堪えない」の意味

後悔している男性

「慚愧に堪えない」は、「自分の行いを残念に思い、恥ずかしく思うこと」という意味です。

「ざんきにたえない」と読みます。

「慚愧」はなかなか日常的に使う漢字ではないでしょうから、「ぜんき?」「ざんぎ?」などと迷ってしまいそうですね。

昔は「ざんぎ」とも読んだようですが、今では「ざんと読みますので、しっかり覚えておきましょう。

「慚愧に堪えない」は、自分の行いについて恥じることです。

自分のしたことを恥ずかしく思う、残念でならないと思う、そうした後悔や謝罪、恥といった感情を表します。

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「慚愧に堪えない」の語源

「慚愧に堪えない」の「慚愧」は、元々は仏教用語です。

  • 「慚」は「自分の行いや過ちを、自ら恥じる心」
  • 「愧」は「自分の行いや過ちを、他人に対して恥じる心」

という意味の言葉なのです。

自分の至らなさや罪を恥ずかしいと感じる時、その基準は自分自身であったり、世間であったりします。

こんなことをして、「自分に対して恥ずかしい」とか「世間に対して恥ずかしい」という気持ちになりますよね。

ですから、この「慚」と「愧」は区別されてはいますが、伴って生じるものであるとされています。

そして、「堪えない」の部分ですが、これは「~に堪えない」として、「その感情を抑えることができない」「し続けることができない」という意味になる言葉です。

「見るに堪えない」などの「堪えない」と同じです。

ですから、「慚愧に堪えない」というのは、自分や世間に対して自分の行いを恥じるという気持ちが抑えられないほどであるということを表すのです。

単に「恥じる」とか「反省する」というよりも、かなり強い気持ちで自分の行いを心底恥じているという意味になることがわかると思います。

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「慚愧に堪えない」の使い方

謝罪をする男性

「慚愧に堪えない」は、自分の行いや犯した罪を心底恥じるという意味で使います。

使う場面は、謝罪する時ということになります。

大きな過ちを犯した、恥ずべき行いをしたという時に、その後悔や反省、また大いに恥じ入る気持ちを表しますので、ニュースで流れるような謝罪会見や、ビジネスシーンで相手方に謝罪する時など、かなり真剣な謝罪の時に使います。

日常のちょっとした「ごめん!」で済むような謝りの言葉としては使いませんので気をつけましょう。

また、「慚愧の念」とか「慚愧の至り」といった使い方もされます。

例文で使い方を確認しましょう。

【例文】

  1. 私の気の緩みからこのような事態を引き起こしてしまったこと、慚愧に堪えません。
  2. お客様に多大なるご迷惑をおかけしてしまい、慚愧に堪えません。
  3. 弊社の社員がこのような事件を起こしたことは慚愧に堪えない。

「慚愧に堪えない」の誤用

「慚愧に堪えない」は、自分の行いなどを恥ずかしく思い反省することです。

ですが、「ざんき」という音からの連想でしょうか、「残念に思う」「がっかりする」という意味で使われることがありますが、これは誤用です。

「忸怩たる思い」との違いは?

「慚愧に堪えない」のように、自分の行為を恥じる時に使う言葉に「忸怩たる思い」があります。

これも、謝罪会見などでよく使われる言葉ですよね。

「慚愧に堪えない」と「忸怩たる思い」は、ほぼ同じ意味です。

同じように使えます。

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細かく違いを挙げるなら、「慚愧に堪えない」と「忸怩たる思い」の違いは、

  • 「慚愧に堪えない」は「自分のしたことを恥じに思い、後悔すること」
  • 「忸怩たる思い」は「恥ずかしく思うこと」

となり、「慚愧」の方が「自分の行い」「後悔する」という意味がはっきりしています。

とはいえ、「忸怩」も「深く恥じ入ること」であり、特に自分自身の行いについて恥じ入る気持ちを指して使いますので、ほぼ同じと考えてよいでしょう。

なお、「忸怩たる思い」を「いらいらする」「うじうじと悩む」などの意味で使うのは誤用です。

「忸怩」は怒りや悩む様子ではなく、「慚愧」と同じく「深く恥じ入る」「恥じ入って反省する」ことを表す言葉です。

「慚愧に堪えない」の類義語・言い換え表現

「慚愧に堪えない」の類義語・言い換え表現には次のようなものがあります。

  • 忸怩たる思い(深く恥じ入る思い)
  • 恥じ入る(深く恥じ入ること)
  • 悔やむ(自分の言動を後で省みて残念がる)
  • 後悔する(自分の言動をあとで失敗であったとくやむこと)
  • 自責の念にかられる(自分で自分の過ちを咎めること)
  • 汗顔の至り(大変恥じ入る様子)
  • 遺憾(思い通りでなく残念なこと)
  • 無念(悔しくてたまらないこと)

「慚愧」の対義語

「慚愧」の対義語には次のようなものがあります。

  • 無慚(罪を犯しながら、恥ずかしいと思わないこと)
  • 無愧(自分の罪を他人に対して恥じないこと)

まとめ

「慚愧に堪えない」は、自分の行いなどを深く恥じて反省しているということを表す言葉でした。

謝罪の時に、「恥ずかしく思っています」「反省しています」と言うよりも、こうした言葉を使ってより真剣な、深い後悔や謝罪の気持ちを表すために使います。

ぜひ覚えておいてくださいね。

最後までお読みくださりありがとうございました!

ABOUT ME
三角 彩子
大学卒業後、出版社にて秘書・経理補助などの職種を経験。 退職後は塾講師、高校国語(現代文、古文、漢文) の添削指導員などを経て、長女を出産後は在宅でライターをしています。 社会人経験や国語の知識を活かし、秘書検定やビジネスマナー、国語などに関するライティングを主に行なっています。
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