※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています
ビルやマンション、学校などの大きな建物に、「定礎」と書かれたプレートが設置されているのをみたことがあるのではないでしょうか。
玄関近くの壁の下の方に埋め込まれていることが多いですよね。
あの「定礎」は一体何なのか、何と読むのか、何のためにあるものなのかと疑問に思ったことはありませんか?
今回は、「定礎」の読み方と意味は?なんのためにある?についてご説明いたします!
「定礎」の読み方
「定礎」は「ていそ」と読みます。
「じょうそ」とか「じょうぎ」とか読んでしまっている人もいるかもしれません。
正しく「ていそ」を覚えておきましょう。
「定」は「テイ」と読み、「さだめる、さだまる」などの意味のある漢字です。
「礎」は「ソ」と読みます。
「いしずえ」とも読み、「土台、基本」という意味があります。
>>「落成」と「施工」の意味と違いは?使い分けと語源を解説!
「定礎」の意味
「定礎」は「建築の着工に際して礎石を据えること。建物の工事を始めること」と言う意味です。
読み方は「ていそ」です。
「礎石」というのは、建物の基礎にあって、柱などを支える土台の石です。
その礎石を置いて、建築工事がスタートするわけです。
「定礎」は、これから建築を始めますよ、土台となる石はこれですよ、と礎石を据えるということを表す言葉なのです。
ただし、現代では、「定礎」の扱いは元々の意味とは異なってきています。
言葉の意味としては、建築を始める前に「定礎」を置いて工事を始めるということになりますが、現在では略式化が進み、工事が完了するタイミングで「定礎」のプレートを設置することが多いです。
そのため、「定礎」の日付は工事完了の「竣工日」が記載されています。
まとめると、「定礎」は本来は建物の工事を始めることですが、実際は工事完了の日付を記載してプレートが埋め込まれるものになっているということです。
>>「着工・竣工・上棟」の違いは?意味と使い方を解説!|類義語・例文
「定礎」はなんのためにある?
「定礎」は特に設置義務があるものではありません。
また、形や位置が決められているものでもありません。
あくまでも習慣であり、建築基準法などで決められているものではないので、「定礎」のプレートを埋め込むかどうかは自由です。
では、なぜわざわざ「定礎」のプレートを設置するのでしょうか?
「礎」は、物事の基礎となるものという意味があります。
建築物における「礎」は、その建築物の基礎となる大事なものだということで、礎石を定める「定礎」が設置されるのです。
「定礎」を設置する習慣は西洋でできたもので、古代ギリシャローマなどでは石を使った大きな建造物が作られていましたから、その着工の際に建物の礎に印をつけて工事の安全や繁栄を祈ったそうです。
日本でも、昔は木造の軽い建物だったので「定礎」はありませんでしたが、西洋の石やレンガ造りの建築文化が入ってきて、明治時代には「定礎」が行われるようになったそうです。
もともとはこのように、建築工事の安全祈願、今後の繁栄を祈るという意味で着工時に「定礎式」を行うなどしていましたが、日本では着工時に地鎮祭を行う習慣があるので「定礎」は建築前ではなく建築完了の竣工時に設置することが一般的になっています。
「定礎」の設置の仕方
「定礎」について、特に設置する建物や設置の仕方などに決まりはありません。
ビルやマンション、校舎などの大型・高層の建物に多いですが、いろいろな建物に設置することができます。
場所は、建物の正面玄関付近、あるいは南東側が一般的です。
玄関は建物の顔なので当然ですが、なぜ他に南東なのかというと、家相において南東は「大吉相」とされているからです。
南東を玄関にするといいということで、元々南東向きにエントランスを設けているビルも多いようです。
また、「定礎」には決まったスタイルはありません。
形も大きさ、文字のフォントやデザインも自由です。
ビルごとにいろいろな「定礎」を見つけることができますので、探してみても面白そうですね。
「定礎」の中身
さて、「定礎」はただのプレートではありません。
実は「定礎」には、「定礎箱」というものが埋め込まれていることが多いのです。
ステンレスや銅など腐食に強く長持ちする素材でできた箱で、その中身は
- 建築図面
- 施主や施工者などの名簿
- 出資者の名簿
- その土地の氏神様のお札
- 社史
といった資料を入れることが多いです。
また、いわゆるタイムカプセルとして
- その日の新聞
- 写真
- 紙幣や硬貨
といった思い出になるようなものを入れることもあります。
この「定礎箱」は、建物に埋め込んでしまうので、建物を解体したときにしか出して見ることはできません。
ビルや学校などは何十年も使われる建物ですし、修繕すれば何百年も持つかもしれませんよね。
建築当時の貴重な資料や思い出が入った「定礎箱」、開けるときにはドキドキしそうですね。
まとめ
「定礎」は「建築の着工に際して礎石を据えること」です。
現代では竣工時に埋め込まれますが、いずれにしても安全や繁栄を祈願する意味、建築当時の資料や思い出を残す意味などがあります。
何気なく通り過ぎていることも多い「定礎」ですが、どこにどんな「定礎」があるのか改めて注目してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みくださりありがとうございました!