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「遺漏なきよう留意願います」
ちょっと難しい言葉ですが、新聞やニュースなどでこのような言い回しを見聞きすることがあります。
公文書などで使われるようなかたい言い回しですが、それだけにビジネスシーンでも使えそうですよね。
ですが、相手に「遺漏なく」と言うのが失礼にあたるのでは?とも言われています。
ぜひ正しい使い方を理解して、失礼のないように使っていきたいですね。
今回は、「遺漏」の意味と使い方!「遺漏なく」とお願いするのは失礼?【類義語・例文】についてご説明いたします!
「遺漏」の意味
「遺漏」は「もれこぼれること。手落ち、手抜かり」という意味です。
「いろう」と読みます。
「遺」は「忘れる」「残す」などの意味がある漢字です。
「漏」は「漏れる」という字で、そのとおり「漏れる」「漏らす」、また「忘れる」という意味もあります。
この「遺」と「漏」で、「忘れる」「漏れる」という意味を重ねていますので、「何かをすることを怠る」「大事なことが抜け落ちていること」といった意味になるわけです。
「遺漏」の使い方
「遺漏」は「手抜かり」「大事なことが抜け落ちている」といった意味で使います。
名詞ですので、色々な使い方ができます。
- 遺漏がある
- 遺漏がない
- 遺漏なく
- 遺漏を
などなどですね。
かたい印象の言葉ですから、日常の会話ではあまり使わないでしょう。
お役所言葉や、ニュースやビジネスシーンなどで使うような言葉です。
例文で使い方を確認しておきましょう。
【例文】
- 遺漏のないよう記入する。
- 遺漏があっては困るので、くれぐれも気をつけてほしい。
- 遺漏なきようしっかり準備を進めて行きたい。
- 万遺漏なきを期す。(万が一にも遺漏がないように、の意)
「遺漏なく」とお願いするのは失礼?
「遺漏」の意味についておわかりいただけたかと思います。
ビジネスシーンで色々と使えそうなこの「遺漏」ですが、使い方には注意が必要な言葉です。
なぜなら、「遺漏なく」とお願いするのは場合によっては失礼にあたるからです。
「遺漏なくお願いします」
「遺漏の無いようご留意願います」
などの形で依頼するのは、一見丁寧な言葉遣いですね。
ですが、「遺漏なく」ということは、「手抜かりなく」「怠りなく」ということになります。
目上の方やお客様などに「手抜かりのないようにお願いします」「怠りなくやってくださいね」「ミスのないように気をつけてくださいよ」などと言っていることになってしまいますね。
「遺漏なきようお願いします」などの言い回しは行政関係、いわゆるお役所言葉として使われることも多く、役所が各所に通達する場合などにはよく使われます。
またビジネスシーンでも、対等な立場にある仕事相手に対してなどはよく使う表現です。
そういった場合は問題ないのですが、偉い人やお客様に向かって「遺漏なく」と言うとかなりきつい印象ですよね。
ミスがないように気をつけてください、という言い方になります。
例えば、お客様に何か記入していただく時であれば「ご記入もれのないようによくご確認ください」など、もっと平易な言葉で注意を促した方が柔らかい印象になるでしょう。
もちろん、「遺漏のないように気をつけます」などと自分に対して使う場合は問題ありません。
「遺漏」の類義語
「遺漏」の類義語には次のようなものがあります。
- 手抜かり(注意が行き届かなかった点)
- 手落ち(手続きや仕事の上で不足や欠点があること)
- 取りこぼし(欠けた部分や誤った部分)
- 遺脱(抜けること、漏れ落ちること)
- 逸脱(本筋から逸れること。誤って抜かし落とすこと)
- 脱漏(あるべきものが漏れ落ちること)
- 怠慢(怠けて仕事や義務を怠ること)
「遺漏なく」を言い換えるなら
- 取りこぼしなく
- 抜かりなく
- ミスのないように
- 手落ちのないように
- 漏れがないように
といったところでしょう。
「遺漏」の対義語
「遺漏」の対義語は特にありません。
「遺漏」がなく、色々な意味で完全な状態であることを表す言葉は
- 完全(欠けるところや足りないところのないこと)
- 完璧(一つも欠点がなく完全なこと)
- 完備(完全に整い、備わっていること)
- 遵守(言いつけ、決まり、法律などにそむかずよく守ること)
- 勤勉(仕事や勉強に一生懸命はげむこと)などがありますので、文脈に応じて「遺漏」のある状態と反対の意味を表すのではないでしょうか。
まとめ
「遺漏」は手落ちや手抜かりという意味の言葉でしたね。
「手抜かりのないように気をつけます」などと言うよりも「遺漏のないように……」と言った方が改まった真面目な印象になりますので、シーンによってはこうした言葉を選んで使えるとよいのではないでしょうか。
ぜひ参考になさってくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございました!